サスティナブルコラム

白樺樹液留学レポート「プロフェッショナルたちとの“樹液をめぐる冒険”」

白樺樹液留学レポート「プロフェッショナルたちとの“樹液をめぐる冒険”」

アムリターラは、数多くの自然原料の力を借りて商品づくりをしています。すべてが大切な資源であり、その一つにホワイトバーチモイストウォーターの主原料である白樺樹液があります。
樹液の生産地・北海道美深町の採取現場で、人手不足や高齢化が進んでいると知り、ホワバ(と愛を込めて呼んでいます)が好きすぎる広報の矢島が採取作業に参加しました。約2週間滞在し、白樺林のなかで様々なことを学んだ“白樺樹液留学”の様子をレポートします。
人生最後のホワバのために

白樺樹液留学レポートホワイトバーチモイストウォーターが大好きで、私はこれまでに出たインスタライブなどで「人生最後の日もホワバを浴びると決めているんです」と話していました。そして、白樺樹液農家の柳生さんとお話をしていたところ、持続的な採取が決して簡単に行われていないことを知りました。

 

何も考えず、当たり前に享受できるかのように能天気な発信をしていたことを、恥ずかしく思いました。何か自分にできることをしたいと、採取作業への参加を志願。出張というよりは学びに行く気持ちで、“樹液留学”と名付け、必ず貢献するんだという決意を燃やして美深町へと向かったのでした。

 

白樺の樹液は、春の芽吹きのために根圧が高まる、雪解け(4月中旬前後)の2週間だけ採取することができます。以前は1か月ほどあった期間が、近年は温暖化の影響で短くなっているそうです。今年は特に気温が高かったので準備が早まり、私が到着した4月12日にはすでに、採取エリアへのホースやバケツの設置が済んでいました。

 

白樺の寿命は60~80年で、美深のように環境の良い場所では100年生きる木もあるそうです。樹齢40年前後になると、樹液を採るのに適してくると教えてもらいました。

 

樹液採取の流れ

白樺樹液留学レポート4月13日「美深白樺樹液春まつり」が行われ、カムイノミというアイヌ民族の神事とともに今年の樹液採取がスタートしました。

白樺樹液留学レポート

 

樹液の採取はとてもシンプルな工程で行われています。

 

 

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    雪が解けても地面に届くように、できるだけ低い位置に穴を開ける

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    穴にコルクとホースを差して、ホースの先にバケツを設置

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    そこに溜まった樹液を集める

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    集めた樹液をタンクに注ぎ、ルートに沿って広いエリアを回る

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    採取期間の終わりになると、設置していた何百ものバケツを回収し、穴を栓で塞ぐ

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白樺樹液留学レポート朝8時から、お昼休憩を挟んで長い日で午後14~15時くらいまで、毎日現場に出ます。留学3日目は、悪天候のためお休みになりました。気候条件によって、あまり樹液が出ていない日は早く終わることもあります。

 

なみなみと溢れんばかりの樹液を見ると「ああ、ホワバ……きれいっっ」と感動が胸に迫ってきます。バケツの蓋を開けると、青みがかった色ですっきりと澄んでそこにあって、いちいち見とれてしまいそうになります。

 

ただこれが重い。18リットル入るので、当たり前にめちゃくちゃ重いし液体なので暴れます。加えて笹の上に積もった雪に足をとられやすいのですが、大切なホワバをこぼしたくないし、すごいスピードで進んで行くので、遅れを取らないよう体幹に力をいれて運びます。

 

気温は連日5℃前後で、雨や雪もよく降るものの、作業が始まるやいなや汗だくに。1トンタンクがいっぱいになると、さらに巨大な貯蔵タンクへ注ぎに行くのを待つ休憩時間があるのですが、身体を動かさないととたんに冷え込むので温度調節が至難の業。しかし風邪なんて引いていられないと、毎日着るものや持ち物を更新して気合いで調整しました。

 

白樺樹液留学レポート採取期間の前半はどこもかしこもたぷたぷのバケツに囲まれて、「こんなに運べるかな」と心が折れないように必死でしたが、後半になってくると、朝一番「今日はどうだろう」と見回ると明らかに量が減っていきました。

 

また、雪がなくなって樹液を冷やしてくれないので、色が変わったり濁ったりと劣化しやすくなります。品質のいい樹液だけを採ると、日が経つにつれ持つバケツは軽くなっていき、「あれ、あの重さが懐かしいぞ……?」という奇妙な感覚を覚えました。

 

笹をかき分けてバケツを目指すと、一緒に作業をしてきた先輩たちの「こうなったら今年はそろそろ終わりだな」という声がします。

6人のプロフェッショナルたち

白樺樹液の生産者は、松山農場の柳生さん親子です。毎年アムリターラ本社にも訪問してくださり、今回の私の樹液留学も快く受け入れていただきました。柳生さんとのインスタライブでは、白樺樹液生産を始めた背景など興味深いお話を聞いていますので、ぜひご覧くださいね。

 

留学中、山で毎日一緒に過ごしたのは、十何年も樹液採取作業を担っている美深町在住の6人の先輩たち。平均年齢70代、なんと最高齢の方は81歳!みなさん足腰が強くスタミナがすごくて、着いていくのに精一杯でした。

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    松山農場 柳生佳樹さん

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松山農場 柳生佳樹さん

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数日してわかったのが、この6人の方々でフルメンバーなのだということです。用事で1人お休みという日も当然あったりします。ピークの日は5トン近く採ったのですが、もしも1人お休みで私が来ていなかったら、これを5人でやっていたのか、と想像して倒れそうになりました。

 

お互いにシャイで、作業期間中それほど話をしたわけではないのですが、木や樹液や山や空を見て先輩たちが呟く何気ない言葉から、学ぶことが多くありました。美深周辺の植生や、白樺林に見られる動植物のこと、もちろん採取作業のやり方やコツなども。

 

東京から来たことに最初は驚かれ、毎日来ることや、けっこう力持ちなことにも驚かれ、と数日を過ごすうち、戦力に数えてもらえてるなあと感じる瞬間があったのを、とても嬉しく覚えています。

 
白樺樹液留学レポート最終日には、地元の焼き肉屋さんで送別会を開いていただきました。先輩の一人が近くの山で摘んだ行者ニンニク(アイヌネギ)をたくさん食べさせてくれました。ワイルドでめちゃくちゃおいしいんですけど、数日人としゃべらなくても大丈夫な時に食べてください。
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先輩たちに伝えたかったこと

現地に滞在したから得られたことが多数ありました。白樺林の状況、エリア環境。現場の労働環境、樹液製造過程や衛生環境、樹液採取に関する多様な考え方を知りました。私が「先生」と呼んでいる、代表の勝田小百合を始め社のみんなに報告したいことが日々増えていきます。留学が楽しすぎて帰りたくない気持ちと、この実感を早く伝えたいという思いがせめぎ合いました。

 

実際に身体を動かして樹液を集め、準備も片付けも一連のすべてを担っている6人の先輩たちと過ごせたことが、振り返ってみると一番大きな成果だったように思います。彼らの採取した白樺樹液がホワイトバーチモイストウォーターとなって、日々私たちに潤いを与えてくれていること。アムリターラにとって白樺樹液がどれだけ大切であるかを伝えられたからです。「この化粧水じゃなきゃだめ、という人がたくさんいるんです」と伝えたら、目を丸くされていました。

 

白樺樹液留学レポート寒さに備えて、亡くなった父が長く着ていたスキーウェアで行ったら、初日に「備えすぎだあ!」と先輩たちに笑われました。次回があればもう少し軽装で、でも長靴と手袋は頑丈にして、できれば準備作業に間に合うように行きたいです。

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留学先のみなさん、挑戦させてくれた先生、支えてくれた社のみんな、SNSなどで応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

 

番外編 自炊と温泉生活

白樺樹液留学レポート滞在中宿泊させてもらったのは、柳生さんの経営するファームイン・トントです。美深の町からは車で30分弱の仁宇布(ニウプ)地区にあり、採取現場のすぐそば。初夏には羊たちが放牧され、村上春樹『羊をめぐる冒険』のモデルではと囁かれる場所でもあります。ここで自炊をしながら生活しました。
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白樺樹液留学レポート疲れを蓄積させないように、しっかり食事でタンパク質やその他の栄養をとることも仕事の一部だと考えて、今思えば毎食切実なくらい真剣に食べていました。

 

おもしろかったのは、大好きな玄米黒酢をいつも以上に欲して、ご飯にたくさんかけてまで食べていたことです。ふだんにない肉体疲労が黒酢を求めたのかもしれません。他にもアムリターラの調味料やサプリメントを送っていたので、環境が変わっても良い体調を保てて、日々感謝が湧いていました。

 

 



白樺樹液留学レポートまた、トントから車で1時間前後のところに温泉がいくつもあり、時間の許す限り駆け込みました。5つほど行ってみたなかで一番のおすすめは下川町の五味温泉。天然の「含二酸化炭酸水素塩泉」が、パワー溢れるにごり湯で最高でした。飲泉はちょっとスパークリングで珍しいです。
北海道の山道には鹿がたくさんいるので、運転の際はお気をつけください。

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矢島緑(やじま・みどり)
2024年1月アムリターラ入社。前職は出版社に勤め、勝田小百合の最新刊『FLOWで不老』などを編集。30代後半になって美容健康業界へと転職した人として、修行インスタライブなどを行う。
アムリターラユーザーのための有料コミュニティ「ターラ村」を昨年秋に立ち上げ、詳細な樹液留学日誌を書くなど日々の学びを報告している。
ターラ村:https://amritara-taramura.commmune.com/view/home