サスティナブルコラム

田中律子さんと勝田小百合によるトークセッションが実現

田中律子さん×勝田小百合トークセッション毎年4月22日は、地球のことを考えて行動する日「アースデイ」です。アムリターラでも地球環境のためにアクションを起こそうと、タレントの田中律子さんをお招きして、勝田小百合と共にトークイベントを行いました。

 

イベントのテーマは「サンゴ礁」。田中さんはスキューバダイビング、サップヨガインストラクターの資格を取得されていて、「パワーをもらった海への恩返し」「100年後の子どもたちにも残したい」という想いから、2006年に特定非営利活動法人「アクアプラネット」を立ち上げ、サンゴ礁の保護・再生活動や自然環境啓発活動を積極的に行っています。

 

田中さんの活動に共鳴し、アムリターラでは〈オールライトサンスクリーンクリーム SPF18 PA+〉や〈ハイビスカス チーク〉などの売り上げの一部をアクアプラネットさんに寄付しています。このようなご縁もあり、今回のイベントが実現しました。今回のコラムでは、田中さんがお話してくださった内容を中心に、イベントの様子をレポートします!

田中律子さん×勝田小百合トークセッション

田中律子さんに聞くサンゴ礁の生態、白化現象とは?

田中律子さん×勝田小百合トークセッション現在、沖縄と東京の2拠点で生活されていて、イベント当日は沖縄から駆けつけてくださった田中さん。14歳のときに撮影で西表島を訪れた際に「ここは本当に日本なの!?」と思うほど、熱帯植物が生い茂る大自然を目の当たりにしたそうです。そして初めてダイビングを体験して、ピンクやグリーン、紫など色彩鮮やかなサンゴ礁を見て、「竜宮城って本当にあるんだ」と思うほど海の中の素晴らしい世界に感動したそうです。

 

その後、18歳でダイビングのライセンスを取得。12年前に沖縄に移住されて、「沖縄に住んでいると自然のリズムを感じることができるんです」と話してくださいました。

 

トークセッションでは、まずは田中さんに、サンゴ礁の生態や白化現象についてなど分かりやすく教えていただきました。その内容の一部をご紹介します。

田中律子さん×勝田小百合トークセッション

サンゴは鉱物ですか?植物ですか?
サンゴ礁は硬いですし、自分で動いたりしませんが、実は鉱物でも植物でもなく「動物」です。刺胞動物といってイソギンチャクやクラゲの仲間で、年に一度、5~6月の大潮のときに産卵もします。
サンゴには毛穴のような穴が空いていて、その穴の一つ一つに「ポリプ」というサンゴの本体が埋まっています。ポリプは穴から触手を伸ばして、海の中のプランクトンを捉えて食べて生きています。また、サンゴは穴の中に「褐虫藻(かっちゅうそう)」という藻を棲まわせて、褐虫藻が光合成で作り出した栄養をもらっています。

 

サンゴ礁はなぜあんなにカラフルなの?
サンゴ自体は真っ白な骨格ですが、サンゴの穴に棲んでいる褐虫藻が太陽の光を浴びて光合成を行うことで、グリーンやピンク、オレンジ、イエローなどカラフルな色に染まります。

 

「サンゴの白化現象」とは?

サンゴの棲息に適する水温は25℃~28℃といわれていますが、海水温が上昇して30℃以上の状態が長期間続くと、暑さに耐えられずに冷たい海の方に褐虫藻が出て行ってしまいます。褐虫藻がいなくなったサンゴは真っ白になり、この現象を「サンゴの白化」といいます。白化したサンゴは時間経過とともに死滅してしまい、骨格だけが残ります。

 

田中律子さん×勝田小百合トークセッション田中さんが最初に海の中で白化現象を目撃したのは、1998年のエルニーニョ現象のときで、「沖縄のサンゴ礁が真っ白になってしまった」そうです。このとき、沖縄のサンゴ礁の約9割が死滅してしまい、水温の低いところに棲息していたサンゴだけ生き残っていた状況だったとのこと。田中さんは「海中の1℃上昇は、私たちだったら住めなくなるくらいの非常に大きな変化なんです。気温が1.5℃上昇するとサンゴ礁の70~90%は失われてしまいます」と話します。

田中律子さん×勝田小百合トークセッション
続けて「サンゴ礁には約9万種類もの生物が棲息していることが確認されています。魚や海藻などさまざまな生物が卵を産んだり、子育てをしたりとサンゴ礁はいわば“海のゆりかご”なんですよね。私たちも海の恵みをいただいているわけなので、サンゴ礁がなくなってしまうと、私たちはお魚や海藻をいただくことができなくなるんです」と現在の危機的な状況について話してくださいました。

 

サンゴ再生活動を行う「アクアプラネット」について

田中律子さん×勝田小百合トークセッションサンゴの白化現象を目の当たりにし、「これは食い止めなければならない」という強い危機感を感じ、今から18年も前の2006年にサンゴ礁の再生や保護活動を行う「アクアプラネット」を立ち上げた田中さん。そのきっかけを伺うと「14歳からダイビングをしていて、いくら仕事が忙しくても海に潜ることでリセットできていました。大きなパワーをもらっていた海に恩返しをしたくて、沖縄でサンゴを育てる活動をしている方との出会いもあり、ボランティアでサンゴ礁を守る活動をすることにしたんです」と話します。

 

アクアプラネットでは「サンゴの再生事業」の一つとして、海の中にサンゴ畑を作る養殖活動を行っています。サンゴ礁が消失してしまった石垣島の海中の砂地に、小さなサイズのサンゴを植えて、数年単位で時間をかけてサンゴを育てています。

 

アクアプラネットでは、個人向け・企業向けの応援プログラムを用意しており、応援資金をサンゴの苗の植付け活動に役立てています。アムリターラでもこちらのプログラムを利用させていただいていて、微力ながらお役に立てればと思っています。「植付けはどなたでも参加できるので、赤ちゃんが生まれたり、誕生日などの記念日に寄付してくださる方が多いんです」と田中さんは感謝の気持ちを込めて話してくださいました。

田中律子さん×勝田小百合トークセッション

海を守るために日常生活でできること

田中律子さん×勝田小百合トークセッション最後に、田中さんに海を守るために私たちができることを教えていただきました。「家で使う生活排水も最終的に海に流れていきます。今は色々なチョイスができるので、毎日使うものを見直してみるといいと思いますね。少し高いかもしれませんが、環境にやさしい洗剤や柔軟剤に変えてみるのもおすすめです。とくに柔軟剤には香りのマイクロカプセルが含まれているので、最後まで分解できないまま海や川に流れてしまうんです。柔軟剤を使わないのが難しいようなら、使う頻度を減らしてみてもいいと思います」。

 

続けて「ワンハンドビーチクリーンといって、ゴミ袋に入れなくてもいいので片手で拾えるだけのゴミ拾い活動もいいと思います。そして、海に行ったり自然の中で遊んで、自然に触れあってほしいです。雄大な自然を見たら、自然を守ろうという気持ちが湧き上がってくると思うので」と話してくださいました。「自分でできる範囲で楽しくやれることをやっていただきたいです」というアドバイスでお話は締めくくられました。

田中律子さん×勝田小百合トークセッション

 

勝田小百合が解く海と化粧品の関係

田中律子さん×勝田小百合トークセッションイベントの後半は、勝田小百合によるセミナーを行いました。
まずは「ブルー・ビューティ」というムーブメントの説明からスタート。多くの化粧品には、化学物質や合成香料、マイクロプラスチックが含まれていて、下水から川や海に流れていきます。これらの化学成分は、環境を汚染したり、海洋生物への悪影響も指摘されています。海洋ブラスチックごみの削減やリサイクルの促進、海洋生物に配慮した化粧品の開発など、美しくて豊かな海を守ることを目的としたムーブメントを「ブルー・ビューティ」と呼びます。「環境問題は自分自身と切り離したものではなく、私たちは環境にあるもので全部できているので、全部自分に戻ってきます。環境問題と私たちは常に繋がっているんです」と勝田は話します。

 

続けて、田中さんも話していた「合成香料」の問題についても切り込みました。まず、熊本大学の研究レポート(2005年~2007年)を紹介。そのレポートによると、イルカなどを含む有明海の海洋生物のほぼ全てから人工香料であるHHCBとAHTNが検出されたそうです。「HHCBとAHTN、これらは合成ムスクです。最近、マイクロカプセルの中に香料を封じ込めた柔軟剤が流行っていますが、長時間濃い香りが続くので体調不良を訴える人が増加しています。今や香害は社会問題になっています」と勝田は話します。合成香料を封じ込めたマイクロカプセルは、服に付着して弾けると香りが広がるという仕組みで、大気中に漂って口からも入る可能性があります。また、マイクロカプセルは非常に小さいサイズのため分解されにくく、その多くが土壌や河川、海に流出してしまいます。「毎日このような柔軟剤を使っていたら、下水として流れていき、ゆくゆくは海洋生物にも影響を及ぼします」と、マイクロカプセルの香料について警鐘を鳴らしました。

田中律子さん×勝田小百合トークセッション

そして今回のイベントのテーマでもある「サンゴ礁」と日焼け止めの関係について解説。特に一般的な日焼け止めに使用されている「100nm以下の非常に微粒子のナノ粒子」の問題点に触れました。「ナノ粒子には活性酸素が発生しやすいなどいくつか問題点がありますが、みなさんに知っていただきたいのが、ナノ粒子は海洋生物にも悪影響を及ぼす可能性が高いということです」と話します。ナノ粒子は目に見えないほど粒子が非常に小さいので、サンゴに入り込んでしまう可能性があるのです。「合成防腐剤、合成香料、ナノ粒子も海洋生物に悪影響を及ぼすことが分かっています。アムリターラではこれらは決して使用しませんし、環境問題についてこれからも真剣に向き合っていきたいと思います」という勝田の言葉でセミナーは終了しました。