開発ストーリー
オールライトサンスクリーンクリーム SPF29 PA+++

2025年4月、アムリターラの日焼け止め「オールライトサンスクリーンクリーム」のSPF/PA値が高くなってリニューアルしました。「10の約束」を遵守しつつ、私たちの理想を可能にしたのは「セリウム*」という原料です。今回の開発ストーリーでは、セリウムのお話を中心に、アムリターラ代表兼商品開発の勝田小百合より商品に込めた想いをお伝えいたします。
*酸化セリウム(紫外線散乱剤、整肌成分)
- 「必要悪」ではない日焼け止めを作る
私は、エイジングケア*には、肌のバリアを守ることが一番大事だと考えています。そのために合成界面活性剤不使用のクレンジングクリームを開発しました。そして、それと同じくらい重要なのが、肌の本体である真皮に紫外線を通さないことだと思っています。それには日焼け止めが必須です。ですが、成分的にも使用感的にも日焼け止めを「必要悪」だと思って我慢しながら使っている方も多いのではないでしょうか。
私は、紫外線から肌を守りたいけれど、守るもの(=日焼け止め)で肌が荒れるのは苦痛でした。それなら、肌荒れせずに心地よく使えるものを作ろうと思って日焼け止めの開発に取り掛かりました。最初は、ナノ粒子ではない酸化亜鉛で試作してみたのですが、顔が花魁のように真っ白になってしまって…。ナノ粒子を使わずに、私がよしとする粒径で日焼け止めを作るのは想像以上に難しいかもしれない、と諦めていたところに「セリウム」という原料に出合ったのです。
*年齢に応じた潤いを与えるお手入れ
- 衝撃的だった「セリウム」との出合い
以前、自分のブログに、日焼け止めに含まれる酸化チタンは紫外線が当たることで活性酸素が発生することや、ナノ粒子が肌に及ぼす影響のことなど長々と書いたことがあります。
ある日、それを見た天然ミネラルであるセリウムの原料メーカーの方から、「こういう原料があるのですが、話を聞いてもらえませんか?」と連絡をいただきました。医薬品や化粧品原料として本格的な研究を行っている、まさに「セリウムのための企業」といった感じの方々で、いかにセリウムが素晴らしい原料なのかを説明してくださいました。
紫外線散乱剤としてのセリウムは、「光の遮断範囲がとても広く、紫外線(UV-A、UV-B)、ブルーライト、近赤外線の一部を防げること」「とくにブルーライトの防御に特化していること」「ナノ粒子でなくてもSPF値を出せること」などを聞き、ほぼ欠点が見たらないパーフェクトな原料だと思いました。通常日焼け止めで使用する酸化チタンや酸化亜鉛などの散乱剤は、光に当たるとどうしても活性酸素を発生してしまうという宿命があるからです。
アムリターラのサプリメント「アスタクリルオイル OMEGA3」に配合しているクリルオイルに出合ったときと同じくらい強い衝撃を受けましたね。「すごいものに出合った…!」と。原料メーカーの方は、大手化粧品会社にもセリウムの話を聞いてもらったらしいのですが、その凄さはなかなか伝わりにくかったそうです。
- 「ほぼパーフェクト」を「パーフェクト」にしていく
アムリターラの日焼け止めにセリウムを使おうと決めましたが、試作を進める中で気になる点も出てきました。セリウムって、絵の具のような原料臭があるんです。それを原料メーカーの方に伝えたところ、原料臭を取り除く技術を研究してくださって、改良してくれました。
ほかにも、アムリターラでは合成界面活性剤は使わないため、原料が分散しにくい(=混ざりにくい)んです。分散材も合成界面活性剤なので。ですが、セリウム自体の電荷を反発し合うように作ってくれたので、セリウム同士が互いに反発して、その結果分散できるようになりました。これはどういうことかと言うと、セリウムが分散し続けることによって、日焼け止めをシャカシャカ振らなくても混ざり合っている状態を保つことができる、ということなんです。
原料メーカーの方にこちらの問題点を伝えると、すぐに「研究します」と言ってくれて、問題点を次々とクリアしてくれました。こんな感じでタッグを組んで、唯一無二の日焼け止めを開発していきました。
- リニューアルして進化を遂げた日焼け止め
今回のリニューアルでは、これまで1種類だったところ、得意分野が異なる2種類のセリウムを配合しています。成分名は同じなのですが、一つは、従来の日焼け止めにも使用していた「光の反射力が高いセリウム」。そして今回新たに加えたのが「肌を守って美しく整えるセリウム」です。このセリウムを配合することで、美肌の大敵である紫外線を跳ね返しつつ、年齢を重ねた肌にも嬉しい日焼け止めに進化しました。
今回、ベストのものを作ったつもりではありますが、セリウム自体が常に進化しているので、更にパワーアップする日がくるかもしれません。とくにSPF値の点においては。セリウムはブルーライトの遮断が一番得意で、紫外線はその次なので、高いSPF値は出にくいんです。セリウムの量を増やせば自ずとSPF値は高くなりますが、価格も上がったり、仕上がりが白くなったりします。あとセリウムは「粉」なのでテクスチャーが重たくなります。
今の軽やかな使い心地を維持しながら、あまり重たくならないようにするのはなかなか難しいです。しかし今回の「オールライトサンスクリーンクリーム」では、今まで「SPF18 PA+」だったものが、「SPF29 PA+++」になりつつも、以前と変わらない軽やかなテクスチャーを維持し、更には敏感肌テストや乳幼児テストにも合格したのですから、大変な進化だと思います。
- 世の中にないものを作るのがアムリターラ
私たちアムリターラが掲げている「10の約束」を守りながら日焼け止めを作るなんて、普通は無理だと思います。一筋縄ではいかない道のりでしたが、セリウムの原料メーカーの方々のおかげで、なんとか生み出すことができました。私の知る限り、こんな日焼け止めは見たことがないと思うくらいの自信作です。
日焼け止めに限らずですが、開発する前から無理だと諦めても仕方がありません。私はとりあえず試作してみるタイプです。最初から「絶対無理」という場合もあるとは思いますが、それほど無理でなければ「うまくいくかも」と思うんです。諦めさえしなければいつか叶うと。すごく苦労したわりに、たいしたものが出来なかったら商品にする意味はあまりないと思います。大変だけれど、「これが完成したら多くの人が喜んでくださるし、世の中にないものが出来る」と思ったら困難なことでも突破したいと思いますし、突破できる自信もあります。誰もやっていないことをやるのがアムリターラですから。そうやって新しいお題を突き付けられると燃えるんです。それが楽しくてこの仕事をやっているとも言えます。