さひめ山の麓に咲き誇る薔薇“さ姫”
「かくて堅め立てし、加志は石見の国と出雲の国との境なる、名は“さひめ山”、是なり」
島根県の中央に位置し、6つの峰が河口を取り囲むように並ぶ三瓶(さんべ)山。かの出雲神話の時代、佐比賣(さひめ)山と呼ばれていた山です。「出雲国風土記」の冒頭を飾る「国引き神話」において、出雲の創造神である八束水臣津野命が、出雲の国を大きくするために巨大な鋤(すき)に三つ編みの綱を付け、さひめ山に突き刺して杭とし、海の向こうから国を引っ張って出雲につなぎました。それでできたのが現在の出雲の国であり、その時に綱をつなぎとめる杭となったのが、さひめ山だとされます。そのさひめ山、現在のさんべ山の麓で栽培されているのが、深紅の香り薔薇「さ姫」なのです。