ハニーハンティングの村

インド中央部の農村、マハーラーシュトラ州メルガート村は、都会から離れた空気のきれいなエリアで、古来より、伝統的なハニーハンティングが続けられてきました。この地方で発見された約1万2千年前の壁画には、その当時のはちみつ採取の様子が描かれているそうです。ハンティングをするのはベンガルタイガーが棲みつく動物自然保護区内です。ハニーハンターたちは明け方のまだ辺りが暗いうちからハンティングに出かけます。この地域の野生ミツバチは、ロックビーと呼ばれるオオミツバチ(アピスドルサタ)で、地上から10メートル以上、高くて30メートルを超す高い木々の枝に巣をつくります。周りが明るくなりかけた頃に、ハンターたちはロープを使って巣蜜のある高所に慎重に上っていきます。ロックビーは体長が2pほどもある大型のミツバチで、さらに巣自体も1メートルもの大きさになります。ハニーハンターはこの巣から、幼虫のいる部分を避け一部だけを採取するので、残された部分を基にしてミツバチによって再生されます。このような持続可能な方法によって、よりミツバチたちの採蜜が促進され、植物たちの受粉が活発になり森林と生態系の保護にもつながっているのです。

また、貴重な資源とハンターたちの仕事を守り持続可能にするために、安全な採蜜や処理の仕方から、公正な値付けまで、支援機関による監視のもときちんと管理されています。
ミツバチたちがシーズンである1月〜3月の間に採蜜するのは、原生林の中の花々や樹液ですが、「森の炎」と呼ばれるパラシュ(ハナモツヤクノ木)という赤い花の蜜やマウアの花の蜜が含まれていて、濃厚な味と香りが楽しめます。
氷温熟成によりおいしさが引き出される

はちみつが凍り始める氷結点に近い温度領域である「氷温域」ではちみつを長期間貯蔵することで、はちみつ自体の自然なおいしさをさらに引き出し、香り高くコクのある濃厚なはちみつに仕上げました。長時間の熟成ではちみつの味わい成分が増え、無濾過のため含まれる花粉などの成分により黒い色に変化していきます。
【はちみつの味わいを保つために】
はちみつを輸入するにあたって、はちみつ中の水分を20%以下に抑える必要があります。また、はちみつに含まれる野生の酵母により発酵が進むことで味わいが大きく変化してしまったり、アルコールが生成されたりする可能性があるため、最低限の加熱処理を行い、余計な不純物を除去しています。特に発酵力の高い種類の無濾過のはちみつにおいては変化のスピードが速いため、最低限の加熱は必要です。輸入後は氷温貯蔵を行うことにより、品質劣化を防ぎながら熟成させています。それでも開封後は時間の経過により発酵が進むことがあるので蓋をしっかりと締め、お早めにお召し上がりください。また、熟成とともにより色味が深く変化していきます。
おすすめレシピ

【材料】
- 原生林の黒はちみつ…大さじ2
- 生姜のすりおろし…適量
- 炭酸水…200ml
【つくり方】
生姜を細かくすりおろし(繊維が気になる場合は搾り除く)、はちみつとよく混ぜ、炭酸水で割れば完成。
甘味料