風の力が作る塩
西オーストラリアの中央に、約500万年前の海水の結晶である湖塩が自然に形成されている湖があります。
この湖塩は岩塩とも海塩とも、また通常の湖塩とも違う、とても不思議な塩です。
湖塩とは大昔海だった場所が地殻変動によって次第に陸に閉じこめられ、水分が蒸発して塩分濃度が高くなった湖の水でつくられた塩のことで、海の塩が岩塩になる途中とも言えます。
ところがこのオーストラリアの湖塩ができる湖は、海とは450kmも離れた場所にあるのです。これほど離れた場所にある湖に塩ができたのは、自然界の偶然が重なったからでした。
西オーストラリアには、インド洋から内陸に向かって強い偏西風がいつも吹いています。この強い風が、はるか昔から荒れる海の飛沫を内陸に運んでいたのですが、それが海岸から450kmの地点で低い山地に当たって落ち、その下に溜まり沈澱していきました。